Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
ある。二月には梅が咲き、この部落全体が梅の花で埋まった。そうして三月になっても、風のないおだやかな日が多かったので、満開の梅は少しも衰えず、三月の末まで美しく咲きつづけた。朝も昼も、夕方も、夜も、梅の花は、溜息の出るほど美しかった。そうしてお縁側の硝子戸をあけると、いつでも花の匂いがお部屋にすっと流れて来た。三月の終りには、夕方になると、きっと風が出て、私が夕暮の食堂でお茶碗を並べていると、窓から梅の花びらが吹き込んで来て、お茶碗の中にはいって濡れた。四月になって、私とお母さまがお縁側で編物をしながら、二人の話題は、たいてい畑作りの計画であった。お母さまもお手伝いしたいとおっしゃる。ああ、こうして書いてみると、いかにも私たちは、いつかお母さまのおっしゃったように、いちど死んで、違う私たちになってよみがえったようでもあるが、しかし、イエスさまのような復活は、所詮、人間には出来ないのではなかろうか。お母さまは、あんなふうにおっしゃったけれども、それでもやはり、スウプを一さじ吸っては、直治を思い、あ、とお叫びになる。そうして私の過去の傷痕も、実は、ちっともなおっていはしないのである。