Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
「お弁当を持って来ました。おひとりで、つまらないでしょう」
と言って、お弁当を草原の上に置いて、また大急ぎで引返して行かれた。
私は、お弁当をすましてから、こんどは、材木の上に這い上って、横になって本を読み、全部読み終えてから、うとうととお昼寝をはじめた。
眼がさめたのは、午後の三時すぎだった。私は、ふとあの若い将校を、前にどこかで見かけた事があるような気がして来て、考えてみたが、思い出せなかった。材木から降りて、髪を撫でつけていたら、また、こつこつと靴の音が聞えて来て、
「やあ、きょうは御苦労さまでした。もう、お帰りになってよろしい」
私は将校のほうに走り寄って、そうして文庫本を差し出し、お礼を言おうと思ったが、言葉が出ず、黙って将校の顔を見上げ、二人の眼が合った時、私の眼からぽろぽろ涙が出た。すると、その将校の眼にも、きらりと涙が光った。
そのまま黙っておわかれしたが、その若い将校は、それっきりいちども、私たちの働いているところに顔を見せず、私は、あの日に、たった一日遊ぶ事が出来ただけで、それからは、やはり一日置きに立川の山で、苦しい作業をした。