Japanische Klassiker mit Furigana
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しゃよう
斜陽
Lesen Sie 斜陽 (しゃよう) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.822 Zeichen · 176 Bildschirme
「そう。そんなら、会計は、あなただ」
「足りないかも知れませんわ」
私は、バッグの中を見て、お金がいくらあるかを上原さんに教えた。
「それだけあれば、もう二、三軒飲める。馬鹿にしてやがる」
上原さんは顔をしかめておっしゃって、それから笑った。
「どこかへ、また、飲みにおいでになりますか?」
と、おたずねしたら、まじめに首を振って、
「いや、もうたくさん。タキシーを拾ってあげますから、お帰りなさい」
私たちは、地下室の暗い階段をのぼって行った。一歩さきにのぼって行く上原さんが、階段の中頃で、くるりとこちら向きになり、素早く私にキスをした。私は唇を固く閉じたまま、それを受けた。
べつに何も、上原さんをすきでなかったのに、それでも、その時から私に、あの「ひめごと」が出来てしまったのだ。かたかたかたと、上原さんは走って階段を上って行って、私は不思議な透明な気分で、ゆっくり上って、外へ出たら、川風が頬にとても気持よかった。
上原さんに、タキシーを拾っていただいて、私たちは黙ってわかれた。
車にゆられながら、私は世間が急に海のようにひろくなったような気持がした。
「私には、恋人があるの」