Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

「城は売られても、身は売らん、山口殿、二人でここを死守しよう」

次右衛門のことばに、重政も泣いてよろこんだ。

「あれだけいる蟹江の留守衆の中で、ほんとの人間は御辺ひとりだったか。――いや、おたがい、日頃は、親友だの、刎頸の友だのと、云いあっているが、こんな時にでも会さなければ、ついに、真の友も、真の主従も分らないところだった。――其許、たった一人でも、真の人間がいてくれたことがわかって、死ぬにも、世の中が、明るい気がする。何しろ、御辺が来てくれたのは、千人力だ、笑って死のう」

と、二人は、満足を感じあって、すぐ戦備にかかった。

すでに、その頃、大野川の下流から、無数の兵船が、滝川勢をのせて、みずすましの群のように、ここへ遡江して来るのが見えた。

滝川勢は、船から、大野ノ城を見て、

「これやあ、城とも呼べない小城じゃないか。陪臣者の佐久間の家来が住むにはかっこうな虫籠だ。踏みつぶすには、半刻ともかかるまい」

と、あなどりぬいて、わいわいと城際の川辺へ寄りたかった。

突然――城壁の上から、火のついた松明が降って来た。びゅっと、炎の尾をひいて、雨のように、船と人間の上に落ちた。