Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme

Aozora Bunko

「多分その女子でございましょうな」

と、あいまいに答えた。

――通された女性は、わびた草庵風の一間に、待たせられた。

短檠のあかりが、その横顔と、姿の半面を、明滅させている。

案内した山楽も、枝折戸を開けてから、その美貌に、眼をみはった顔つきである。年は、まだ十七か八としか見えないのに、落着いた物ごしにも、少なからず、おどろいた。

「先生。通しておきました」

「……うむ」

と、永徳はうなずいた。

永徳も、そこの縁の端から、奥をのぞいて、かれが画心をもって自然を見るときのような眼で、じっと、眸をすましていた。

(――ああ、この顔だ)

かれは、幾日も幾日も、下描きしては描き直していた菊慈童の相貌を――生きているその顔を――いま目に見たような気がしたのである。

美貌であって気稟があり、叡智であって冷たくない顔。そして高貴なにおいをもち、いわゆる白痴美でなく、花にも負けない人間の顔の美。――そんなかれの注文にかなう容貌は、かれの空想と筆技からもなかなか生み出せなかった。

「――先生。お会いになるのでしょう」

「あ。会ってみよう」

かれは気がるに、そこへ行った。

「わしが、永徳ですが」