Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
巨大な檻か、牢獄のような頑丈さである。ここにはたくさんな負傷者が莚を敷いて呻いていた。
長政が通ると、仰臥していたさむらいも、起きあがって、両手をつかえた。
「犬死にはさせんぞ。――あだには死なせんぞ」
長政は、右へも左へも、そういって通った。
外へ出ると、かれの瞼にも、泣いたらしい痕が見えた。
けれど、彼はかたく、部将たちへむかって、愚痴を禁じた。
「敵に降るも、長政に殉じるも、去就は各※(二の字点、1-2-22)が選むところで、いたずらに罵るべきでない。――この戦い、信長にも名分あり、長政にも名分がある。彼は、天下の改革をこころざし、長政は、武門の名と義に拠って戦うのだ。そちたちも、信長に降るがよしと思うならば信長に奔れよ。敢えて、止めはせぬぞ」
そういって、諸所の防備を見まわるため歩き出したが、その足数が、百歩とならないうちに、またも彼にとって、京極曲輪を失った以上の大変が報じられて来た。
「殿ッ……と、殿ッ。……無、無念ですッ」
と、彼方から朱にまみれた姿で駈け転んで来た一部将の口からであった。
「おうッ、休太郎ではないか。いかがいたした」
長政は、何か、不吉な予感に胸をうたれた。