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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme

Aozora Bunko

「……あッ」

むしろ藤吉郎のほうが、不意を喰ったくらいである。

跳びかかるやいな、彼の片手は、万寿の襟がみをつかんだ。

なお、左の手で、茶々をつかみかけたが、茶々は、ありッたけな声を出して、

「――怖いッ」

泣きさけびながら走った。

捕まった万寿は、愕きのあまり、声を出さなかった。

藤吉郎のからだの下に、あお向けに倒されて、その人の顔を、大空といっしょに、逆しまに大地から見あげた時、初めて、

「きゃッッ! ……」

と、悲鳴を発した。

彼方へ泣いてゆく茶々の声と、ここの絶叫を、誰よりもまっ先に聞いたのは、藤吉郎ひとりを数寄屋にとり残して、路地の外へ出ていた藤掛三河守であった。

――何事? と思ったにちがいない。ここへ駈けつけて見てからさらに、

「や、やッ?」

仰天してさけぶやいな、すぐに手は――ほとんど無意識に、

「おのれッ」

と、陣刀のつかをにぎっていた。

藤吉郎は、万寿のうえに、ふみ跨がったまま、

「あぶない!」

と、却って、相手の注意をうながすような、制止の声をかけた。

すんでのこと。

一颯の陣刀とともに、彼へぶつかろうとした三河守は、思わず足をすくめた。