Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
花の中の花
さむらい、われら
と、同音に歌っていた。
人生はかくこそ送れ。楽しみなくして何の人生ぞや。よしあす知れぬまでも。いや、あす知れぬ身なればこそ。
藤吉郎の持論である。陰気ぎらいで陽気をこのむ彼は、何か、ほっとこの世の祝福を見出していた。そしてわれ知らず、歌の声につられて少しずつ陽気なほうへ歩いていたのである。
ばたばたと、忙しげに、侍たちが通る。多くは台所方の者らしい。大皿にもりあげた肴だの、酒の瓶だのを、防塁の戦いみたいに懸命に運んでゆく。
いかにも陽気だ、どの顔にも、生命力が光っている。――いったいどうしたのだろう? と疑われるくらいに。
「や。木下殿ではないか」
「オ……三河殿で」
「広間にお見えなさらぬので、あちこち、探しておりました」
そういう藤掛三河守も、ぽっと酔を頬にもっている。ついさっきまでの憔悴は姿にもなかった。
「どうしたわけでござる。奥の丸のあの賑わいは」
「いや、お約束いたした如く、亥の刻までが、家中一同にとっても、最後の最期。いずれは死ぬもの、死ぬなら華やかにと、殿長政をはじめ、将士すべて、すっぱりと気軽うなって――さらば城内にある限りの酒瓶をあけ、さむらい集いせばやと云い囃し、あのとおりこの世の名残を酌み交わしているわけでおざる」