Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
「ああ、うまい」
大まかに、彼は飲んで、掌のうえの茶わんを、しばらく眺めていた。
「これは横山城の庭で、於福が焼いた茶だな」
「左様でございます」
侍臣は答えた。
秀吉は、とつこうつ、茶※(「怨」の「心」に代えて「皿」、第3水準1-88-72)の裏を返してみたり、また下に置いてその姿など見入りながら、
「……。何となく面白い。やはりあの男にはあの男の天分があるとみえる。於福を呼べ、於福を」
と、急に何か思いついたらしく、やがて湯殿番の於福が、恐る恐る前へ来て坐るとすぐ、
「そちは今日から湯殿番はやめろ。どうもそんな職分は、そちの天性でないらしい」
と、いった。
於福は、小心な眼をみはって、秀吉の顔を仰いだ。
何か粗相でもして、役目を取りあげられたようにでも考えたらしい。気の弱い眼にすぐ涙をいっぱい溜めた。
「はて、おかしな男、何を悲しそうにするか。わしは叱言をいったのではない。そちの天分をふと見つけたから、忘れぬうちに、そちに将来の行く途を与えてやろうと考えたのだ。硯を持って来い」
「はい」
小姓が立って、すぐ前におくと、秀吉は懐紙をとりあげて、無造作に、さらさらと手紙をかいた。