Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.841 Zeichen · 376 Bildschirme
「藤吉郎でございます。お迎えに出ました。母上、すこしそこの茶屋でおやすみ遊ばしてはいかがですか」
老母もにこりと顔を見せた。やわらかい春の日は、この人の胸にこみあげている幸福感と感謝をあざやかに見せていた。それだけで秀吉はもういっぱいな満足につつまれ、かつてのどんな楽しみも、この一瞬には及ばない気がした。人生の至上の楽しみは、今にあることを意識して胸に刻んでいた。
「秀吉どの、お手をおあげなさい。あなたはもう一国の主、路ばたの土に指をつかえることがありましょうか」
むかしのように、膝へのせて、駕籠のうちへ抱え入れたいほどな母性の愛をその眸にあふれるほど湛えながら、老母はかえって、こう躾めるようにいった。そして、
「旅の道も、一里来ては休み、二里来ては憩い、彦右衛門やその他の衆が、よういたわってくれました程に、なんのつかれもおぼえてはおらぬ。すこしも早くそなたの新しい住居が見たい」
との希望だったので、秀吉は駒を招いて、馬上に身をうつし、老母の先駆をして、長浜の城へ導いた。
そのとき、城下町全体は、祭りのような賑わいに沸いていた。およそ貧しきも富めるも、老いたるも若いものも、城主の歓びを自分の歓びとし、秀吉の孝養を自分たちの親孝行のように、