Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
われらの方の者どもは、かくの通り気ままに頂戴しておるゆえ」
「やあ、お心入れな」
と家来思いな秀治は、自分がすすめられたより欣んで、さて城方の一同へ向い、
「飲め飲め。せっかく、ああ仰せられるものを、辞儀固くして、戴かぬはかえって無礼に似る。――飲めぬ者は箸なと取れ」
と、いった。
黙然と、城方の面々は、かしらを少し下げた。それからおもむろに箸を上げ、杯を手にし始めた。努めてがっつかないように。
会見の最初からの約束で、今日の一会は、いわゆる厳めしい談判ではなく、勝敗優劣の念も去って、酒間の談笑のうちに、和そうと思えば結び、非と考えたら別れよう――そういう条件のもとに敵味方一座したものであるから、光秀と秀治とは、この辺からぼつぼつその話に触れているような容子であった。
至極、武人肌でまた磊落な波多野秀治は、光秀のものやわらかさや、驕慢のふうもなく、心から接待してくれる態度に、すっかり感激してしまったらしく、
「爾後のおあつかいは、御身にまかせる。ただ城中の者の生命と、その後の扶持だに保証して賜るなら」
と、無血開城の大事を、ほとんど一諾にひとしいことばをもって、光秀にこたえているのだった。