Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
と、匆々、高野山へ逃げのびた。
ところが、信長の令は、なおそこまで追求して、
「高野に在住は罷りならぬ」
と、達した。
信盛父子は、生ける心地もなく、そこからさらにまた、紀州熊野の奥へ落ちて行ったという。
――譜代の下人召使にも見離され、足にまかせての逐電也。われと我が草履を取るばかりにて、徒歩はだしのすがた、昨日はゆめか、見る目も哀れの有様とぞ。
当時の筆記に見ても、時人は何の同情も持たなかった。むしろ信長の厳罰を当然として、この一事件を、冷笑視していたらしい。
森蘭丸も、そのひとりだった。
彼は、賢いので、こういう噂に対しても、自分から先に口を出して、死屍に鞭打つようなことばは決して吐かなかったが、近習の同輩が、あれこれと、佐久間父子のうわさをして嗤うと、
「あまりに、寵遇に狎れすぎてお在でたからじゃ。五年余の間、天王寺に在陣中も、茶之湯ばかりに凝られて、陣務はいっこう怠っておられたという。信長公にも、お茶はお好きの一つであり、茶はよく遊ばされるが、佐久間父子とはお心入れがちがう。……何事にせよ、手がける者の心入れ一つで、邪道ともなれば、修養ともなる。