Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
時に――
御階の下から、わらわらと、十二人の朝臣たちが、信長のほうへ駈けて来て、
「勅使」
と、声をかけた。
いま演技をすました信長は、地に降りて疲れた馬を宥わっていた。馬は海から泳ぎ上がったように汗に光り、その全身から湯気をたてていた。
「勅使です」
二度目の声に、彼は、はっと気づいたものか、馬の下にひざまずいた。
勅使は、綸言を伝えていう。今日の事、叡覧あって龍顔殊のほか御うるわしく、上古末代の見もの、本朝のみか、異国にもかほどのさまはあるべからずと宣わせ、斜めならぬ御気色に仰がれた。千秋万歳、御名誉なことであるという犒いだった。
「…………」
信長は、感泣していた。
亡父信秀の志を、子として、いまその一つでも成し遂げたような心地もしたろう。
たそがれ頃、彼は、路傍の群集から、さらに大きな歓声をもって送られながら、宿所の本能寺へもどって行った。
群集は、口々に、
かかるめでたき世に生れ合はせ、天下安泰、黎戸の烟り戸ざさず。生前の思ひ出、ありがたき次第にこそ――
と、云い囃したとあり、なおまた、
忝く、かけまくも、一天万乗の大君を、信長公の御盛儀のため、間近う拝み奉る事、ありがたき御代かなと、貴賤老幼の輩、ただただ合掌、感じ敬ひ申し候事、この世はさながら歓喜感涙のうるはしき大一宇とも見え侍り候也