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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、今、息もたえんとする病人にとっては、必死な努力にちがいなかった。すさまじいばかりな懸命さである。凝視したまま――秀吉も医師も並居る家臣たちも、息をのんで見まもっているしかない。

ようやく、寝床を離れること二尺ばかり、藺莚のうえに、半兵衛重治は、きちと坐った。何たる肩の尖り、膝の薄さ、また両手の細さ。女にも見まほしい姿だった。

ひそかに、唇をしめて、息を調えているらしい。やがて、折れるように、ぺたと両手をつかえた。そして、

「はや、おわかれも、今夕にせまりました。……多年の御鴻恩、あらためて、お礼申しあげまする」

と云い、またすこし間をおいて、

「散るも咲くも、死ぬも生まるるも、ふかく観じてみれば、宇宙一円の中の、春秋の色相のみ。……おもしろの世かな。さようにも思われます。……殿には、御縁あってかく御厚遇をうけましたが、顧みるに、何の御奉公も仕らず、ただそれのみが、臨終の心のこりにござります」

糸のような声であるが、ふしぎにすらすらと唇からもれて来る。或る厳粛なる奇蹟に対する心地で、一同は、粛として容をあらためていた。わけて秀吉は、襟を正し、項を垂れ、両手を膝にのせたまま、慎んでその一語一語も聞きもらすまいとしていた。