Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme
おそらく見えまいが、じいっと、眸をこらしているうちに、自然、太虚のうちにも、うッすらと見えて来る。城の影が、敵の気はいが……」
「御用とは、それだけでございますか」
「それだけだ」
と、床几を譲って――
「ここ両三日からだ。この父がみるところでは、何となく、城の内に、ものの動きが感じられる。ここ半年以上もたえて見なかった煙なども立ち昇った……城をつつむ唯一の目かくしとなる木立なども、惜し気もなく伐り下ろして焚物にしている形跡がある。深夜、心耳をすまして、ここから聞けば、哭くような、笑うような、名状し難い人の声もするように思われる……いずれにせよ、この正月の松の内をこえて、彼らのなかに、一つの変ったうごきが起りつつあるのは事実だ」
「……あ。そうでしょうか」
「とはいえ、それは象で現ているものではない。うかと放言して、味方に徒らな緊張を起させ、誤っては、父の失態、また敵に乗ぜられる虚を作る。……ただ父はそれを感じておるため、こうして、おとといの夜も、昨夜も、床几をすえて、城を観ていたのじゃ。眼で観るのではなく――心眼をもって」
「むずかしい見張りでございますが」