Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

いつまで、正月をしていられるものぞ。筑前どののお茶会もすんだし……」

「では、どちらへ」

「行く先か」

「さればです」

「三木川の柵だ」

「えッ、河原の柵へ。あの辺は危険です」

「もちろん危ない。だが、敵にとっても、危ないところだ。ちょうど、相互の陣地と陣地が、相接しているところだから」

「それでは、もっと御人数を……」

「いやいや、敵も大勢は引き連れて来ぬ。従者一名に子どもひとりぐらいだろう」

「子どもを……」

「そうだ」

「解しかねまするが」

「まあ、黙って来い。知れても悪いことではないが、ひそかな方が、今のうちはよい。筑前どのへも、落城のあとになって、御披露に及ぼうと思うている」

「城は陥ちましょうか」

「陥ちないでどうする」

「失言しました。近いうちにと申し足すのを忘れました」

「まず、落城も、ここ両三日を出ることはあるまい。まかりちがえば、明日にも」

「えッ、明日にも?」

ふたりは、孝高の顔を見まもった。その面に、はや仄白く、水明りがうごいていた。――蕭条として、そよぐ枯れ蘆、瀬の水音も耳を打ってくる。

母里太兵衛と栗山善助のふたりは、そのときギクと足を竦めた。

河原の蘆の中に、敵らしい人影を見たからだった。