Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
そして附近の大竹藪一帯の暗がりには、俄然、土民たちの露骨な跫音や喚きが、ざわざわ立騒いで来た。
「さきほど、物陰から竹槍をつけた土寇の徒が、なお尾け狙うているとみえる。弱味を見せると、足下を見て、よけいに執念く寄って来るのは彼らの持前。――三十郎も与次郎も、ここよりは、辺りの土賊どもを――」
茂朝のことばに、人々は、急に前後へ立ち別れて、寄らば、と槍を持ち直すもあり、また陣刀をひきぬいて、
「こやつら」
と、大喝して、気配のする大竹藪の中へ、躍り入ったものもある。
ザザザザと、まるで猿の群れか、木の葉の雨のような音が、一瞬、小栗栖の夜半のしじまを破った。
「茂朝。……し、茂朝は」
「おりまする。こうして、確乎と、殿のおからだをお抱き申しあげておりまする」
「お。……茂朝」
光秀は、ふたたび唇をうごかした。そして自分を支えている彼の腕や肩を、探るように撫でまわすのであった。
夥しい脇腹の出血は、すぐ視力に影響して来たにちがいない。舌もあやしくもつれて来た。
「いま、茂朝が、傷口を巻いて、所持の薬をさし上げますから、しばらくお怺えを」
「……無用」
要らぬ――と首を振るのである。