Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
のみならず彼は陣駕籠を用い、それに乗ったままでやや身を反り気味に澄まし返っているふうさえ窺われる。
荒武者の中でも、精悍無比な中川瀬兵衛は、小面憎く思ったか、
「清秀がここにおるぞ」といわんばかり、わざと大きな咳払いを一つひびかせた。
――と、秀吉は、駕籠のうちから、一瞥をくれた。そしてただ一言、
「瀬兵衛。御苦労」
と、云い捨てて通ってしまった。瀬兵衛は、足ずりして怒った。
「信孝様さえ、下馬して色代されたのに、駕籠のままで通るとは不遜極まるやつだ。――猿めが、もう天下でも取ったように心得おるか」
あたりの人へも聞えよがしに云い散らしたが、さて、それ以上には怒れもせず行為にも出せなかった。却って、自分が小さくなるばかりだからである。
ひとり瀬兵衛だけではなく、丹羽でも池田でも高山でも、みな同列の織田遺臣のはずだったが、いつのまにか、秀吉は彼らを自分の麾下同様にあつかい、彼らもまた、意識しつつ秀吉の下風に在らざるを得なくなっていた。誰もみな割りきれない気持にちがいない。だが、さればといって誰もそれを拒むこともできないのであった。
城中に入っても、秀吉は焼け残りの建物に一瞥を向けたのみで屋内に身を休めようとはしなかった。