Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

毛利高松藻屑にぞなる

「どうじゃ」

と、秀吉は左右を顧みた。人々は笑い興じた。ひどくお下手な歌ではあるが、味方の気概を示すには足りるし、あわせて一笑を放つには充分だ。

使いはすぐ敵方の陣へ出かけた。誰かよくこの機微を感知し得よう。

この余裕を誇示している人の胸に「信長の死」が秘せられていようとは。

為に、今朝なお味方の内にすら京都の変の洩れている気はいはなかった。秀吉はそれを見届けて緩々と石井山の本陣へもどった。すると山門の前に、官兵衛孝高が待ちうけていて、何か、眼でものを云いながら寺内へ従いて行った。秀吉は彼の顔色で、恵瓊の返事が不調に終ったことをすぐ覚っていた。秀吉のもどる少し前に、恵瓊も毛利の陣から帰っていたが、結果は予想どおりだった。最後の努力も何の効なく、毛利輝元を始め吉川、小早川の両川は依然、

(宗治を殺しては、毛利家の武門が立たぬ。宗治の助命を容れぬ媾和には断じて応じない)

という絶望的な返辞にきまったという――恵瓊の答えなのである。

「ともあれ、恵瓊をここへ召し連れて来い。わしが会おう」

秀吉はまだ絶望を絶望としていない。熱意を昂めている程だった。