Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
――苦慮はそこなのである。
いつの間にか、彼の頭は全面的に、秀吉なる対象に占められていた。――しかも対敵感情に近い憎悪をもってそれが強く思考を左右してくる。古参の股肱を寄せて、昨夜深更まで凝議していたのもそれだった。その結果、きょうはこの帷幕から急使或いは密使として立つ者が八方へ急いでいた。国元の北ノ庄へも、越中魚崎の味方へも。
また遠くは、上州三国の嶮をこえて、越後春日山へ討ち入り、上杉勢の本拠をつくべく、すでに呼応の聯絡をとっていた滝川一益麾下の軍隊へも。同時に滝川一益個人へ宛てても、べつに懇ろな私書を送った。
特に神戸信孝にたいしては、きのう帰った使者に特に持たせてやった返書に追いかけて、さらにあらためてまた一書を認めた。使いの人物にも老臣の宿屋七左衛門をえらび、ほかに心の利く家臣二名を添えて立たせ、何か重大な内意を含ませてやったようである。
以上のほか、祐筆二人が、勝家のことばをうけて、半日書き通していた書状は二十余通の多きにのぼった。要旨は、七月一日を期し、清洲に会同、主家の継嗣のこと、明智の旧領処分の問題など、当面の重大懸案を議せん――というのであった。