Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme
雲母襖に紅白の蓮花が描いてある仏間の裾に沿うて、勝家以下、ひそと着席した。
次々に、一人来ては坐り、一人来ては、また加わった。
ひとり秀吉だけが見えない。
「はて……?」
と、いぶかりつつ眸をこらして正面の仏龕ほのかな辺りを見ると、厨子、位牌、金壁、供華、拈香などの厳かなものの影のうちに、さきの誓書一束が供えられてあるのが一しお目につく。
が、より以上、衆目をそばだてしめたのは、壇下に接して、筑前守秀吉が、喪服した三法師を膝にのせ、けろと、とり澄ましていることだった。
(これは――?)
と思わぬ者はなかったらしい。
けれどよくよく考えてみると、長谷川、前田などの傅役のほかに、秀吉も幼君の輔佐たるべしとは、昼の会議でみなが衆判の下に認めていたことである。僭上なり――とは咎められない。
そうして、臣座を超えた別格の位置に坐っている秀吉にたいし、何ら咎める理由が見出せないだけに――勝家のおもしろくない顔つきは非常なものだった。
「……いざ、お順に」
二叔の信雄、信孝へむかって、こう促すのさえ、頤のさきで、声こそ低かったが、業腹の沸りが息になって洩れたような語調だった。