Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.758 Zeichen · 383 Bildschirme

Aozora Bunko

もう勝った。そう思わぬか」

「まことに」

彦右衛門も茂助も、主人の気もちを正しく解いてうなずいた。また、ここに聞く人ありとも知らず放言していた士卒たちの正直なことばにも心から共鳴した。

「もう丑刻の頃か」

「そうなりましょう」

「戻ろう。やがて進撃の貝も鳴るであろう」

裏門を探って寺中へ帰った。附近の農家であろう、長い声を曳いて牡牛が啼く。総じて、野良犬も鶏も鼠も何となく官能を尖らせているとみえて、どこの営でも兵は深々と眠っているが、動物たちは夜どおしかさこそと物音をたてていた。

「お尋ね申していたところでした」

秀吉が灯もない縁先に腰を休めると、小姓たちが来てすぐ告げた。

「大坂表の丹羽どのから、早馬のお使いが着かれております。すぐ御返書をいただいて、即刻、立ち帰らねばと、しきりに急いだり案じたりしておりまする」

「また、来たか」

同じ所からこれで三度目の早馬である。秀吉は苦笑した。この方面の問題だけでも今夜は彼を寝かさぬようにできていた。

秀吉は縁に腰かけたまま「大坂の使者をこれへ呼べ」と迎えにやり、やがて彼の前に来て平伏した使者の手から、丹羽長秀の書簡を直接受けとった。