Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅのことば
新樹の言葉
Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme
「ああ、むかい側もおんなじだ。久留島さんだ。そのおとなりが、糸屋さん。そのまた隣が、秤り屋さん。ちっとも変っていないんだなあ。や、富士が見える。」私のほうを振りかえって、
「まっすぐに見える。ごらんなさい。昔とおんなじだ。」
私は、先刻から、たまらなかった。
「ね、かえろうよ。いけないよ。ここでは酒も呑めないよ。もうわかったから、かえりましょう。」不気嫌にさえなっていた。「わるい計画だったね。」
「いいえ、感傷なんか無いんです。」障子を閉めて、卓の傍へ来て横坐りに坐って、「もう、どうせ、他人の家です。でも、久しぶりに来て見ると、何でもかんでも珍らしく、僕は、うれしいのです。」嘘でなく、しんから楽しそうに微笑しているのである。
ちっとも、こだわっていないその態度に、私は唸るほど感心した。
「お酒、呑みますか? 僕は、ビイルだと少しは、呑めるのですけれど。」
「日本酒は、だめか?」私も、ここで呑むことに腹をきめた。
「好きじゃないんです。父は酒乱。」そう言って、可愛く笑った。
「私は酒乱じゃないけど、かなり好きなほうだ。それじゃ、私はお酒を呑むから、君はビイルにし給え。