Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅのことば
新樹の言葉
Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme
「ええ、焼ける家だったのですね。父も、母も、仕合せでしたね。」焔の光を受けて並んで立っている幸吉兄妹の姿は、どこか凛として美しかった。「あ、裏二階のほうにも火がまわっちゃったらしいな。全焼ですね。」幸吉は、ひとりでそう呟いて、微笑した。たしかに、単純に、「微笑」であった。つくづく私は、この十年来、感傷に焼けただれてしまっている私自身の腹綿の愚かさを、恥ずかしく思った。叡智を忘れた私のきょうまでの盲目の激情を、醜悪にさえ感じた。
けだものの咆哮の声が、間断なく聞える。
「なんだろう。」私は先刻から不審であった。
「すぐ裏に、公園の動物園があるのよ。」妹が教えてくれた。「ライオンなんか、逃げ出しちゃたいへんね。」くったく無く笑っている。
君たちは、幸福だ。大勝利だ。そうして、もっと、もっと仕合せになれる。私は大きく腕組みして、それでも、やはりぶるぶる震えながら、こっそり力こぶいれていたのである。