Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅのことば
新樹の言葉
Lesen Sie 新樹の言葉 (しんじゅのことば) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 29.156 Zeichen · 59 Bildschirme
どうりで、むしむし暑かった。散歩の人たちは、蜘蛛の子を散らすように、ぱあっと飛び散り、どこへどう消え失せたのか、お化けみたい、たったいままで、あんなにたくさん人がいたのに、須臾にして、巷は閑散、新宿の舗道には、雨あしだけが白くしぶいて居りました。博士は、花屋さんの軒下に、肩をすくめて小さくなって雨宿りしています。ときどき、先刻のハンケチを取り出して、ちょっと見て、また、あわてて、袂にしまいこみます。ふと、花を買おうか、と思います。お宅で待っていらっしゃる奥さんへ、お土産に持って行けば、きっと、奥さんが、よろこんでくれるだろうと思いました。博士が、花を買うなど、これは、全く、生れてはじめてのことでございます。今夜は、ちょっと調子が変なの。ラジオ、辻占、先夫人、犬、ハンケチ、いろいろのことがございました。博士は、花屋へ、たいへんな決意を以て突入して、それから、まごつき、まごつき、大汗かいて、それでも、薔薇の大輪、三本買いました。ずいぶん高いのには、おどろきました。逃げるようにして花屋から躍り出て、それから、円タク拾って、お宅へ、まっしぐら。郊外の博士のお宅には、電燈が、あかあかと灯って居ります。