Japanische Klassiker mit Furigana
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ふたりのとも
新潮日本文学1 森鴎外集
Lesen Sie 新潮日本文学1 森鴎外集 (ふたりのとも) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.954 Zeichen · 29 Bildschirme
今でもその字を記憶しているから、ここに書いても好いが、サフランと三字に書いてある初の字は、所詮活字には有り合せまい。依って偏旁を分けて説明する。「水」の偏に「自」の字である。次が「夫」の字、又次が「藍」の字である。
「お父っさん。サフラン、草の名としてありますが、どんな草ですか。」
「花を取って干して物に色を附ける草だよ。見せて遣ろう。」
父は薬箪笥の抽斗から、ちぢれたような、黒ずんだ物を出して見せた。父も生の花は見たことがなかったかも知れない。私にはたまたま名ばかりでなくて物が見られても、干物しか見られなかった。これが私のサフランを見た初である。
二三年前であった。汽車で上野に着いて、人力車を倩って団子坂へ帰る途中、東照宮の石壇の下から、薄暗い花園町に掛かる時、道端に筵を敷いて、球根からすぐに紫の花の咲いた草を列べて売っているのを見た。子供から半老人になるまでの間に、サフランに対する智識は余り進んではいなかったが、図譜で生の花の形だけは知っていたので、「おや、サフランだな」と思った。花卉として東京でいつ頃から弄ばれているか知らない。とにかくサフランを売る人があると云うことだけ、この時始て知った。