Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「あっ、くそっ」とその若者は呻った。「きたない真似をする奴だ」「斬ってしまえ」けしかけるような叫びがとんだ。秀之進は斬るつもりはなかった。ただここで充分に思い知らせて置く必要はある。役目を果すまでは二度とうるさくつきまとわないように、ことによったら片足ぐらい利かぬようにしてやってもよい……そう思うだけの余裕があった。
相手は若侍たちに退路を塞がれていた。秀之進の打をのがれて立つとき、辛うじて脇差を抜いたが、もう捨て身になるだけの気力も残ってはいないらしい。……秀之進がぐいぐいと間を詰めるにしたがって、相手はおなじほどずつうしろへとさがった。
「なにを遠慮しているんだ、思いきってやってしまえ」「見てはいられんぞ」また野次をとばす者があった。そのとき、藤田家の門から、ひとりの肥えた逞しいからだつきの武士が出て来て、「なにをしているんだ」とよく徹る、ひびきの美しい声で呼びかけた。二人をとり巻いていた若侍たちは、それを聞くなりぱっと四方へ散った。そしておなじ刹那に、秀之進の相手も脱兎のように身をひるがえして闇のなかへ逸走した。
秀之進はそのうしろから、「おい、刀を忘れたぞ」