Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
と叫んだ。もちろん戻るようすはない。毬のように身を縮め、七八間さきの横丁へいっさんに駆け去るのが見えたきりだった。
「なにを騒いでいたんだ」
「いま此処ではたし合があったのです」
「ばかな真似をして……」
「いやわれわれではありません、一人はいま逃げ去りましたが、一人はまだそこにおります、どうやら他国の仁らしゅうございますが」
このあいだに秀之進は身づくろいをし、落ちている相手の刀を拾った。言葉のようすでは、その逞しい人物が藤田東湖と思える。かれはしずかに近寄っていって会釈をした。
「御門前を騒がしまして申訳ございません、わたくしは讃岐高松からまいった者でございます、失礼ながら藤田先生でございましょうか」
「おれは藤田だが……」
太い眉の下の巨きい眼がぎろっと光った。
「わたくしは早水秀之進と申します、実は先生にお願い申すことがございまして、明日おたずねするつもりでした、今宵はお屋敷を拝見して置こうと存じましてこれまでまいったのです」
「へえ……」という小四郎の声がした、「これがお屋敷かねえ」
へえ――これがお屋敷かねという小四郎少年の野次は、作法を正して挨拶していた秀之進をびっくりさせた。