Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
そして沖人足や店付きの者が、酒に酔って着荷祝いの唄をはじめると、かれは、そっとぬけだして塩屋町の店へ帰った。
店はもう提灯を消し、大戸をおろして、ひっそりと寝しずまっていた。大助は母屋から離れた別棟の一戸に住んでいる。それは広い地内の庭はずれにあり、二階建てで土蔵造りの書庫が付いていた。
「お疲れさまでございます」
まだ寝ずに留守をしていた老女のしほが、手燭を手にもって戸口まで迎えに出ていた。
「まだ起きていたのか、帰って寝ろと云って置いたのに」
「お夜食を召しあがると思いましてね」
「もう今夜はよそう」
「でもお支度ができておりますけれど」
「お客さんは済んだか」
「はい……」
「そんならいい、いま浜で弁当をちょっと摘んで来たから」
そう云いながらあがって風呂場へはいっていった。かれは寒中でもよく水を浴びる。秋のはじめとはいいながら、夜半の気温はもうかなり冷えるので、風呂場の水音は聞く者の耳にも寒ざむとひびいた。汗を流して上り、常着に着替えると、待っていたしほの手から手燭を取り、あとはいいからと云って、そのまま土蔵の書庫へはいっていった。書庫の二階には畳敷の八帖があって、彼の勉強部屋になっている。