Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
いま彼がはいってゆくと、有明け行燈が仄かにまたたいており、その脇に床が二つのべてある、その一つに秀之進がしんと寝ていた、大助は手燭を消して静かに坐った。
「もうおやすみですか」
「水をいきなりかぶるのはからだに毒だよ」秀之進が眼をつむったままでそう云った、「いま聞いていると大さんはいきなり肩から浴びたようだ、あれはいけない、手足の先からはじめて胴、胸と一応しめしてからかぶるのが法だ、あれは乱暴だよ」
「で……ございますかね」
大助は自分の寝床の枕許に坐って、煙草盆をひき寄せた。高松のこの家にいるときだけかれは煙草を喫うのである。
「しかしとにかく、これで一応ほっとしましたよ、大抵のことは経験ずみだが、人間の抜け荷だけは初めてですからね、本当のところ汗をかきましたよ」
「荷物のほうも大丈夫かね」
「てっきり厳重な荷改めがあるものと覚悟していたんですが、浦奉行からは与力が下役を二人つれて来ただけで、これが薬の利く男でしたから案外すらすらとはこびました、うまくいくときはこんなものですよ」
「銃五百挺、弾薬、鉛、鉄」秀之進はそのときを回想するように、低いこえでそっとそう呟くのだった、「堺で荷積みのときおれは見ていた、そしていざとなれば沖人足などという者も度胸の据わるものだと感心したよ」