Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
昼間の空家は淋しいものだ。薄い人の影があそこにもここにもたたずんでいるようで、寒さがしみじみとこたえて来る。どこへ行こうと云うあてもないのだ。二円ではどうにもならない。はばかりから出て来ると、荒れ果てた縁側のそばへ狐のような目をした犬がじっと見ていた。
「何でもないんだ、何でもありやしないんだよ。」
言いきかせるつもりで、私は縁側の上へきっとつったっていた。
(どうしようかなア……、どうにもならないじゃないのッ!)
夜。
新宿の旭町の木賃宿へ泊った。石崖の下の雪どけで、道が餡このようにこねこねしている通りの旅人宿に、一泊三十銭で私は泥のような体を横たえることが出来た。三畳の部屋に豆ランプのついた、まるで明治時代にだってありはしないような部屋の中に、明日の日の約束されていない私は、私を捨てた島の男へ、たよりにもならない長い手紙を書いてみた。
みんな嘘っぱちばかりの世界だった
甲州行きの終列車が頭の上を走ってゆく
百貨店の屋上のように寥々とした全生活を振り捨てて
私は木賃宿の蒲団に静脈を延ばしている
列車にフンサイされた死骸を
私は他人のように抱きしめてみた
真夜中に煤けた障子を明けると