Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
こんなところにも空があって月がおどけていた。
みなさまさよなら!
私は歪んだサイコロになってまた逆もどり
ここは木賃宿の屋根裏です
私は堆積された旅愁をつかんで
飄々と風に吹かれていた。
夜中になっても人が何時までもそうぞうしく出はいりをしている。
「済みませんが……」
そういって、ガタガタの障子をあけて、不意に銀杏返しに結った女が、乱暴に私の薄い蒲団にもぐり込んで来た。すぐそのあとから、大きい足音がすると、帽子もかぶらない薄汚れた男が、細めに障子をあけて声をかけた。
「オイ! お前、おきろ!」
やがて、女が一言二言何かつぶやきながら、廊下へ出て行くと、パチンと頬を殴る音が続けざまに聞えていたが、やがてまた外は無気味な、汚水のような寞々とした静かさになった。女の乱して行った部屋の空気が、仲々しずまらない。
「今まで何をしていたのだ! 原籍は、どこへ行く、年は、両親は……」
薄汚れた男が、また私の部屋へ這入って来て、鉛筆を嘗めながら、私の枕元に立っているのだ。
「お前はあの女と知合いか?」
「いいえ、不意にはいって来たんですよ。」
クヌウト・ハムスンだって、こんな行きがかりは持たなかっただろう――。