Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
神楽坂の床屋さんで水をのませて貰う。
今日は縁日で夕方から賑やかなのだそうだ。
きれいな芸者が沢山歩いている。しのぶ売りも金魚屋も出ている。今日は水中花を売るおばさんの隣りに場所割りがきまる。
店を出して、私は雨傘を出してゴザの上に坐る。何とも暑い夕陽だ。夕陽は何処から来るのだろう。じりじりと照りつけるなぎのような暑さ。人通りが馬鹿に多いけれど、パンツも沓下もステテコもなかなか売れそうにもない。オッカサンは下谷までお使い。
市松の紙の屋根を張った虫売りが前の金物屋の店さきに出た。じょうさい屋が通る。
みがきこんだおかもちをさげたてぬぐい浴衣の男が、自転車に片足かけて坂をすべってゆく。
華やかな町の姿だ。一人だって、雨傘をさしてしゃがんでいる女には気にもとめない。
おえんまさまの舌は一丈
まっかな夕陽
煮えるような空気の底
哀しみのしみこんだ鼻のかたち
その向うに発射する一つのきらめき
別に生きようとも思わぬ
たださらさらと邪魔にならぬような生存
おぼつかない冥土の細道から
あるかなきかのけぶり けぶり
推察するようなただよいもなく
私の青春は朽ちて灰になる、
本当の事を云って下さい