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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいじびじんでん

新編 近代美人伝 (上)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

ことに美しいと見たのは、もう三十幾つ――四十に近いと聞いていたが、ある年の晩春に、一重ざくらが散りみだれる庭に立った、桜鼠色の二枚重を着た夫人ぶりであった。いかな高貴の人柄というもはずかしくない、ねびととのった姿で、その日は、貴紳、学者、令嬢、夫人の多くのあつまりであったが、優という字のつく下に、美と、雅と、婉と、いずれの文字をあてはめても似つかわしいのはこの人ばかりであると、わたしの眼は吸いつけられていた。金襴の帯が、どんなに似合ったことぞ、黒髪に鼈甲の櫛と、中差しとの照り映えたのが輝くばかりみずみずしく眺められたことぞ。わたしは、昔物語のなかの、なにがしの御息所などいうたげな女君に思いくらべていたりした。

出世を嬌ぶらない、下のものにも気の軽そうな気質は、一言二言の言葉のなかにもほのめいて見られる。この人よりは顔も普通で、出世もさほどでない女さえ、我第一の器量人といったふうに振舞うのが多いのに、大橋家の家憲がそうしたのか、彼女の生れたちがそうなのか、立入って知らないが奥床しいと思った。

近代的なひらめきはないが、そうしたところのないのが、しっとりとした落付きのある、大家の夫人としての品を保たせていた。