Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
さはあれ、呂昇はよき師をとり、それに一心不乱の勤勉と、天性の美音とが、いつまでも駈出しの旅烏にしておかなかった。床本とお弁当とをもって、文楽座に通うのを毎日の仕事としていた他意なき熱心さを、大阪第一流の女義の定席、播重の主人にみとめられたのが出世のはじまりとなった。めきめきと売出した時に、播重の手から八百円の手切れ金を立替えて、不思議な紳士とも手を断る事が出来たが、しかしながらまた一方には、播重に自由を束縛されてしまいもした。
弱きは女の心である。一方を逃れようとしてまたそこに桎梏の枷を打たれてしまった。それからの四、五年は播重と呂昇との暗闘であった。呂昇は共楽会という南地の演舞場に開催される、第一流の群れに投じようとし、播重は自分の席の専属にしてしまおうと、心までも肉体と共に自由にしようとした。彼女は漸く自己の新生面を開こうとしたおりに、こういう大きな掌に握りつぶされてしまったので、世の中を悲観しないわけにはゆかなかった。彼女はもう何もかも一切のわずらわしさを捨て、故郷に隠遁してしまおうと決心したが、その心持ちを知る人に慰藉されて思い直し、末虎、照玉と共に旗上げをして鬱をなぐさめた。