Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
時計だの指輪だのというものは、かえってとってあげたほうがよろしいでしょうよ。ああしたお方でしたから。島村先生の時にはお好きだからって、あの方が林檎とバナナをお入れになりました。ですから蜜柑のすこしも入れてあげたらよろしゅうござりましょう」
と無ぞうさな事を言っていた。
素朴なのは彼女の平常であったかも知れないが、名を残した一代の女優の、しかも若く、美しく、噂の高かったロマンスの主であり、恋愛に生きた日を慕って、逝った人を葬むるのに、そんな無作法なことってないと腹立しかった。こんな女に相談をかけるとはと、秋田氏をさえ怨めしく思った。死んだ女は詩のない人であったが、その最後は美しく化粧して去ったというではないか、私は彼女に、第一の晴着が着せたかった。思出のがあるならば婚礼の夜の衣裳といったようなものを、そしてあるかぎりの花で彼女の柩のすきまは埋めたかった。諸方から来る花環は前へ飾るよりも、崩して彼女の亡骸に振りかけた方がよいに、とも思った。
(親身でもないに立入ったことは言われない)
そう思ったときに、生々としていて、なんの苦悶のあともとめない死顔が目に見えるようであった。