Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
そういえば、武子さんは快活な、さばけたところのあるのは、幼いときからだというが、人徳を知るのに面白い逸話がある。ある美術家のうちの床の間に、ブロンズのドラ猫があった。埃りまみれでよごれているのを、武子さんは猫が好きだったが、震災で焼いてしまったので、その埃りまみれの置物を、かあいい、かあいいと撫で廻していた。その事を、あとで、猫を作った某氏にその人が話して、君が逢えばきっと猫をつくらせられてしまうよといったらば、いや決して僕は魅惑されないといっていたのが、いつか銀の猫をつくって、呈上してしまって、そういったものへは内密にしていた。だが、それが縁で、デスマスクはその人がつくったということだ。
あなかしこ神にしあらぬ人の身の誰をしも誰が裁くといふや
ただひとりうまれし故にひとりただ死ねとしいふや落ちてゆく日は
をみなはもをみなのみ知る道をゆくそはをのこらの知らであること
――歌集『薫染』より――
はつ春の夜を荒るる風に歯のいたみまたおそひ来ぬ――
この最後の一首は、磯辺病院で失せられた枕もとの、手帳に書きのこされてあったというが、末の句をなさず逝かれたのだった。