Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

「おかしな人で――」

わたしはそんなことを思出しながら、笑うとなおと、穿き好いからといって、太いふとい、まむしのような下駄の鼻緒をこしらえさせて穿いたり、丸髷のシンをぬいて、向う側がくりぬけて見えるような髷にゆったりするので、この部屋に来て坐ると、わたしがこっち側からのぞいて、安房上総が見えるといったことなどを、とりとめもなく言って、

「お父さんは、信州の小県郡の、二百年も連綿としたお庄屋様の家督とりで、廿五歳の青年お庄屋様は横浜へ飛んで来て、野惣という生糸問屋へはいってしまったんで、横浜が大きくなり、野沢屋が大きくなると、総支配人で店を掴る人になったのですが――その利かない気性と、強いものがあるところへ、お母さんは江戸っ児ですの。前川という有名な資産家の、太物問屋のお嫁御になって、連合に別れたので、気苦労のないところへと再嫁して、浜子さんを生んだ時に、女の子だったらば、琴が上手になるようにと、箏をつるした下で産んだのだときいています。お稽古のことで面白いことがあるのです。」

あたしは聴いているままを、話した。両親の秘蔵ッ子には違いないが、母の教えたがるものと、父親の教えたがるものとは、すこしちがっていることや、お母さんは、浜子が小さすぎる生れだちで、弱いのを気にして、運動にもなるからと、踊の稽古をはじめ