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Japanische Klassiker mit Furigana

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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme

Aozora Bunko

その上に、勧進帳のことで破門されたりして、九代目に芸を認めてもらえながら、引上げてもらう機運をはずしたのだと、もう、どうにもしようのない侘しさを、噛んでいる。

「二銭団洲だって、歌舞伎座を踏んだのにな。」

台助は、はずみで、そんなことを言ってしまってから、しまったと思った。九女八が苦い顔をしたからだった。二銭団洲とは、下谷の柳盛座で、二銭の木戸銭で見せていた、阪東又三郎が、めっかちではあるが団十郎を真似て、一生の望みが叶って、歌舞伎座の夏休みのあきを借りて乗り出したことがあったのを、いかもの食いの見物が、つねづね噂に聞いた二銭団洲を見にいった。出しものは「酒井の太鼓」だったが、あとで座付き役者から物議が起ったことがあったりした、九女八にはいやな、ききたくないことなのだ。

「仕方がないよ、あたしは、はじめっから小芝居へ出てたものね。女役者なんて、あたしたちから出来たのだもの。」

九女八は、老ても色の白い、柔らかい足を出している、台助の足の小指に触って見た。

台助は、艶々とした、額から抜け上っている頭の禿かたも、柔和な、品の悪くない、いかにも以前は大問屋の旦那であったというふうな、鷹揚さと、のんびりした耳朶とを持っている、どこか好色そうな老爺だった。