Japanische Klassiker mit Furigana
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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
この女が、大学出の子息が二人もあって、一人は出征もしていられるときくと、嘘のような気のするほど、古代紫の半襟と、やや赤みの底にある唐繻子の帯と、おなじ紫系統の紺ぽいお召の羽織がいかにも落ちついた年頃の麗々しさだった。
「姉は惜い人でしたわ、育てかたと、教育のしようでは河原操さんのようなお仕事をも、したら出来る人だったと思います。
死ぬのなら、もっと早く死なせたかった。あの通りの華美な気象ですもの。あの人の若いころって、随分異性をひきつけていました。私がはじめて淡路町へいったころは、毎晩宴会のようでした。あっちにもこっちにも客あしらいがしてあって――江木の権力と自分の美貌からだと思っていたから。だから顔が汚なくなるということが一番怖い、それと権力も金力も失いたくない。それが、震災で財産を失したのと衷に死なれたのと年をとって来たのとが一緒になって、誰も訪ねて来なくなったのが堪らなかったらしいのです。よく私に、夫に死なれて後誰も来なくなったかと聞きました。お姉さまの周囲の人と、私の方の人とは違うから、私の方は今まで通りですというと、変に考え込んでしまって――財産がすくなくなったっていつでも他のものなら結構立派に暮してゆけるだけはあったのですし、今思えば、京都の方へ旅行するから一緒に来てくれないかといいました。