Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 138.172 Zeichen · 277 Bildschirme
どっちかがすくんでいるのだ、でなければもっと、重大な、何か、ふたりは、表向きだけの夫婦ごっこ、互に傀儡になったことを知りすぎているのだ。性格的相違だけには片づけられないものがある。そして、短かい外遊期間中なのに、良致男は別居してしまった。だが、武子さんは社会事業の視察、見学をおこたらなかった。
シベリア線で、籌子夫人して武子さんが帰朝ときまったとき、訣別の宴につらなった良致氏は、黙々として静かにホークを取っただけで、食後の話もなく、翌日、出立のおりもプラットホームに石の如く立って、
「ごきげんよう」
と、別れの言葉は、この一言だけだとある。
良致さんという人が、この通り沈黙寡言な、哲学者かと思っていたらば、先日、ごく心やすくしていたという男の人が来て話すには、なかなか隅におけない、白粉を袖や胸にもつけてくる人だというし、またある人も、気さくなよいサラリーマンだといった。新婚のころは、特別に、そんなムッとした人にならざるを得ぬことがあったものとおもえる。世間からは花の嫁御をもらって、日本一の果報男といわれたが、他人ではわからないものが、その人にとってないとはいえまい。