Japanische Klassiker mit Furigana
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かえるのゴムぐつ
新編風の又三郎
Lesen Sie 新編風の又三郎 (かえるのゴムぐつ) von Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.031 Zeichen · 84 Bildschirme
その杉の列には、東京街道ロシヤ街道それから西洋街道というようにずんずん名前がついて行きました。
虔十もよろこんで杉のこっちにかくれながら口を大きくあいてはあはあ笑いました。
それからはもう毎日毎日子供らが集まりました。
ただ子供らの来ないのは雨の日でした。
その日はまっ白なやわらかな空からあめのさらさらと降る中で虔十がただ一人からだ中ずぶぬれになって林の外に立っていました。
「虔十さん。今日も林の立番だなす。」
簑を着て通りかかる人が笑って云いました。その杉には鳶色の実がなり立派な緑の枝さきからはすきとおったつめたい雨のしずくがポタリポタリと垂れました。虔十は口を大きくあけてはあはあ息をつきからだからは雨の中に湯気を立てながらいつまでもいつまでもそこに立っているのでした。
ところがある霧のふかい朝でした。
虔十は萱場で平二といきなり行き会いました。
平二はまわりをよく見まわしてからまるで狼のようないやな顔をしてどなりました。
「虔十、貴さんどごの杉伐れ。」
「何してな。」
「おらの畑ぁ日かげにならな。」
虔十はだまって下を向きました。平二の畑が日かげになると云ったって杉の影がたかで五寸もはいってはいなかったのです。