Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lesen Sie 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.562 Zeichen · 179 Bildschirme
も言わず次郎右衛門の手を取りさっさと自分からさきに歩き出し、次郎右衛門はあんまの如く手をひかれて、ぺたぺたと歩いて、またも大泣きに泣くのである。ここまでは、分別浅い愚かな男女の、取るにも足らぬふざけた話であるが、もちろん物語はここで終らぬ。世の中の厳粛な労苦は、このさきにあるようだ。
二人は、その夜のうちに七里歩み、左方に博多の海が青く展開するのを夢のように眺めて、なおも飲まず食わず、背後に人の足音を聞くたびに追手かと胆をひやし、生きた心地も無くただ歩きに歩いて蹌踉とたどりついたところは其の名も盛者必衰、是生滅法の鐘が崎、この鐘が崎の山添の野をわけて次郎右衛門のほのかな知合いの家をたずね、案の如く薄情のあしらいを受けて、けれどもそれも無理のない事と我慢して、ぶしつけながら、とお金を紙に包んで差し出し、その日は、納屋に休ませてもらい、浅間しき身のなりゆきと今はじめて思い当って青く窶れた顔を見合せて溜息をつき、お蘭は、手飼いの猿の吉兵衛の背を撫でながら、やたらに鼻をすすり上げた。この吉兵衛という名の猿は、小猿の頃からお蘭に可愛がられて育ち、娘が男と一緒にひたすら夜道を急ぐ後を慕ってついて来て、一里あまり過ぎた頃、お蘭が見つけて叱って追っても、石を投げて追ってもひょこひょこついて来て、次郎右衛門は不憫に思い、