Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lesen Sie 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.562 Zeichen · 179 Bildschirme
せっかく慕って来たのだから仲間にいれておやり、と言い、お蘭は、おいで、と手招きすれば、うれしそうに駈け寄って来て、お蘭に抱かれて眼をぱちぱちさせて二人の顔を気の毒そうに眺める。いまはもう二人の忠義な下僕になりすまして、納屋へ食事を持ちはこぶやら、蠅を追うやら、櫛でお蘭のおくれ毛を掻き上げてやるやら、何かと要らないお手伝いをして、二人の淋しさを慰めてやろうと畜生ながら努めている。いかに世を忍ぶ身とは言え、いつまでも狭い納屋に隠れて暮しているわけにも行かず、次郎右衛門はさらに所持のお金の大半を出してその薄情の知合いの者にたのみ、すぐ近くの空地に見すぼらしい庵を作ってもらい、夫婦と猿の下僕はそこに住み、わずかな土地を耕して、食膳に供するに足るくらいの野菜を作り、ひまひまに亭主は煙草を刻み、お蘭は木綿の枷というものを繰って細々と渡世し、好きもきらいも若い一時の阿呆らしい夢、親にそむいて家を飛び出し連添ってみても、何の事はない、いまはただありふれた貧乏世帯の、とと、かか、顔を見合せて、おかしくもなく、台所がかたりと鳴れば、鼠か、小豆に糞されてはたまらぬ、と二人血相かえて立ち上り、秋の紅葉も春の菫も、何の面白い事もなく、猿の吉兵衛は主人の恩に報いるはこの時と、近くの山に出かけては柏の枯枝や松の落葉を掻き集め、家に持ち帰っ