Japanische Klassiker mit Furigana
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たびへのいざない
旅への誘い
織田 作之助
Lesen Sie 旅への誘い (たびへのいざない) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.734 Zeichen · 12 Bildschirme
しかし、ただ悲しくなって、筆を止めたのではなかった。
学徒海鷲として雄雄しく飛び立とうとするその人に、こんな悲しい手紙を出してはいけないと思ったのだ。これまで姉に手紙を寄越さなかったのは、おそらく学生らしいノンキなヅボラさであったかも知れず、そして今、再び生きて帰るまいと決心したその日に、やはり姉のことを想いだして便りをくれたその気持を想えば、姉の死はあくまでかくして置きたかった。
道子は書きかけた手紙を破ると、改めて姉の名で激励の手紙を書いて、送った。
南方派遣日本語教授要員の錬成をうけるために、道子が上京したのは、それから一週間のちのことであった。早朝大阪を発ち、東京駅に着いたのは、もう黄昏刻であった。
都電に乗ろうとして、姉の遺骨を入れた鞄を下げたまま駅前の広場を横切ろうとすると、学生が一団となって、校歌を合唱していた。
道子はふと佇んで、それを見ていた。校歌が済むと、三拍子の拍手が始まった。
「ハクシュ! ハクシュ!」
という、いかにも学生らしい掛け声に微笑んでいると、誰かがいきなり、
「佐藤正助君、万歳!」
と、叫んだ。
「元気で行って来いよ。