Japanische Klassiker mit Furigana
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たびへでて
旅へ出て
宮本 百合子
Lesen Sie 旅へ出て (たびへでて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.067 Zeichen · 13 Bildschirme
逃げ出してあてどもない旅路を行く人の心をそのまんま私の心にうつした様に東京の私のこの上なく可愛がる本の奇麗な色と文字を思い出し日光にまぼしくかがやきながら若い楓の木の間を赤い椿の花のかげをとびまわって居る四羽の小鳩の事も思い出された。
私は死ぬまでこの車にゆられゆられて行かなければならない様に思えた。
私のかじかんだ手は自分の手と思われず痛いほどつめたい頬は紫色になって居るに違いない。
眼をつぶって三本通って居る電線の歎く声をきき車の心棒のきしむ音をきいた。
――――
老車夫はまた何かつぶやいた。
そのわけのわからないつぶやきは私の心のそこのそこからおびやかされた。
――ちゃーあん――
私は私の車からはなれてあとにつづくも一つの車にのった弟の名を呼んだけれ共止まらない速い風に持ちさられて私の声は後の車にとどかなかった。
私の声の淋しい余韻はきれぎれになって私の耳にかえって来た。
私は声をかけさえ出来ない様になって自分の呼吸の響ばかりをたよりに吹雪の中に灰色の一本道をたどらなければならなかった。
赤い小松
煤煙のためだか鉄道の線路に沿うた所に赤い小松を沢山見た。