Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
そこへ真紀子が階上から降りて来た。白地の縮緬のところどころに葉を割った紫陽花の模様のソアレを着た真紀子は、見違えるほどのしなやかな美しさだった。
「御用意できて、あら。」
と真紀子は云うと頬笑みながら、背の高いどことなく苦味を帯んだ矢代の姿を上から下まで見下した。
「どうです。このアルマン。」矢代は顔を赧らめて訊ねた。
「堂堂としててよ。あなただとは思えないわ。まア。失礼。」
「これで歩くと猿になるんだから、今夜は一つじっと立って、胡魔化してやりましょうかな。腹芸をやるんだ。」
真紀子はふッと笑いを殺してから矢代と並んで鏡に映ると、
「あたし、香水のいいのを買い忘れたの。シャネルよりないの。」
と云いつつ矢代により添い、片腕を一寸彼の腕にさしてみた。
「今夜一晩はこうして歩くんですからね。そんなに嫌がらないで下さいよ。ああ、面白い、久し振りにいい気持ちよ。あなた一寸。」
とさも面白くて溜らぬと云う風に真紀子は腰を折って笑い転げ、椅子に腰を降ろしてはまた鏡を見た。
「いよいよ役者か。ひどい目に会わされたもんだ。困ったなア。」
矢代は寝台の端に腰かけ真紀子のソアレを眺めながら、人生の中ではこんな芝居そっくりの場合にもたまには出会すものだと思い、いったいこれは何んという芝居に似ているものかと考えた。