Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

あった。

リラまで矢代たちの来たとき、リラは戸を閉めて全部の椅子が片附けてしまってあった。二人はそこから行きつけの食事場へ行ってみたが、その店も入口はみな閉っていて、テラスの椅子もテーブルの上に足を仰向けて並んでいた。矢代はまだ店が始らぬのかと初めは思ったが、見ていると通りから見える所の入口の向うで、いつも矢代の卓へサーヴィスに出て来たボーイ頭が支配人に立ち向い、何事かいどみかかるような興奮した姿で話していた。ぴったり閉じられたガラスの中なので話は聞えなかったが、電気の消えた店内の暗さを背景にしているため、漸く通りの明るみを受けた支配人とボーイ三四人の顔が、水族館の中の鮫のように物物しく映って見えた。ときどき穏やかな顔に弛んだり、また抗弁したりするボーイの後ろに、詰めよっている他の三人の服も海底の動かぬ昆布に似て見えた。頭の鉢の開いた支配人は矢代の傍へいつもよく来て、どうですこの料理の味は? と優しく訊ねたりしたことがあったが、今は両手を拡げたり縮めたりして、ボーイを鎮めることにひたすらこれ努めている最中だった。

「これや、この様子だと今日一日の辛抱じゃ駄目だな。