Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
そのときは、諸君より一足お先に僕は失礼するよ。」
こう云って塩野は敬礼の真似をしながら快活に笑った。久慈は塩野のその覚悟の美しさに瞬間はッとなったが、事態はそこまで自分にも迫って来ているのかと思い吐息をつくと、しばらく黙って赤蕪を噛っていた。
「吾人は須らく現代を超越すべし、というわけにはいかんのかね。ここの家みたいに。」
久慈のこう云うのに突然横から東野は頓狂に笑い出した。
「それや真面目だよ。久慈君、寄附金の箱があそこに下ってるじゃないか。」
「いや、あれは空だ。」
「しかし、横になってるぞ。」
またどっと四人は笑ったとき、その笑い声の中で久慈だけ誰よりさきに暗い表情に変っていった。
「東野さん、あなたはこの間から、僕ばかりやっつけるが、どうしてそんなに僕が気に食わぬのです。」
と久慈は東野の方へ向き変って詰問の調子だった。
「それや、君があんまり現代を超越しないからさ。」
「いや、もっと大真面目な話でですよ。」
なるだけ争いを避けるつもりで云ったにも拘らず、久慈の言葉は強かった。
「冗談じゃない。日本人は誰だって、一度は現代を超越してしまったのが伝統なんだから、僕の云うのが冗談に見えるんだ。