Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
手紙まで貰ったんですから、わたしがT社の筈ですがね。」
と南はまた怪訝そうに小首をかしげて考え込んだ。
「じゃ、あなたを日本人一人だと見て持ち込んだんでしょう。」
「そうかもしれませんな。まア、どっちでもいいや。持って帰ってやりましょう。」
無造作に南は云ってから、急に矢代の方へ首を突き出し小声になった。
「どうです。あなたのそのフィルムと、わたしのとこっそり取り替えっこしときましょうや。え? 面白いですぜ。そしたら。」
人柄に似合わずふざけ方がひどいので、矢代は黙って彼の顔を見上げていると、また南は首を突き出し、
「ね、替えときましょう。その方が面白いじゃありませんか。」
冗談にしては意外に乗り気な表情である。
「まさかそうも出来んでしょう。」
「どうしてです?」
同意を示さぬ矢代に疑問を感じたと見え、一瞬南は真顔になった。
「どうしてって、別にわけはありませんがね。」
無駄な骨折りをさせるだけの後のごたごたが分りそうなものだ、と矢代は思って笑っただけだったが、よほどこの人も頼まれた方のフィルムを持ちたいらしく、あくまで自分がT社の使いをしているものだと信じている様子が、車中ずっと続いていた。